そもそもシロアリとは”どんな虫なの?”
そもそもシロアリとは”どんな虫”なのでしょうか?
●実は「シロアリ」は「アリ」ではなかった!
・「アリ」の先祖=ハチ
・「シロアリ」の先祖=ゴキブリ
ということは・・
★体の特徴に違いが
・「アリ」 → くびれ体系
・「シロアリ」 → 寸胴体系
・「アリ」の羽あり → くびれ腰、くの字型触角、前後の羽の大きさが異なる
・「シロアリ」の羽あり → 寸胴体系、じゅず状の触角、前後の羽の大きさが同じ
●シロアリの生態
女王と王を中心にして多数のシロアリで集団(コロニー)を形成して生活します。
・女王アリ、王アリ・・寿命約10年~15年。この間、卵を産み続けます。
・働きアリ・・95%近く占めます。エサ採取、巣の構築、修理から他のシロアリにエサを与えます。寿命約2年。
・兵隊アリ・・外敵から防衛する役割があります。寿命約2年。
●日本における代表的な2種のシロアリ
★分布・・ざっくりと東京あたりを通る横線で日本を南北に分け、
南側の瀬戸内海側・太平洋側にヤマトシロアリとイエシロアリが生息し、
それ以外の北側にヤマトシロアリが生息しています。
★ヤマトシロアリ・・
分布:北海道北部を除いた日本全土。
羽アリ体長:4.5~7.5mm
体色:黒褐色
群飛時期:4月~5月の温暖多湿な蒸し暑い昼間。
蟻道:湿った木材中にいます。蟻道の断面は長円形、不潔。
加害習性:湿った木材を好みます。建物の下部材を加害します。加害速度は遅い。光に向かって飛びます。
巣:木材中にコロニーができます。加害場所の中に巣を作ります。
★イエシロアリ
分布:千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域と、南西諸島・小笠原諸島。
羽アリ体長:7.4~9.4mm
体色:黄褐色 (頭は暗褐色)
群飛時期:6月~7月の温暖多湿な蒸し暑い夕方から夜。
走光性:あり。
蟻道:巣と加害場所までの蟻道は100mにまでも及ぶことがあります。
蟻道断面は半円形で内面はカラッとしています。水を運ぶこともできます。
加害習性:水を運ぶことが出来るので、行動範囲が広くなり被害は建物全体に及びます。
加害速度は速く、被害も大きい。
巣:屋根裏、床下、壁中、土中、立木、立木の根
★ほかのシロアリ
「アメリカカンザイシロアリ」
1970年代に日本で発見されたシロアリ。
特徴は
・蟻道の加工はできません。巣も作りません。
・特に水分も必要としません。
・1年中群飛します。
・建物、ピアノ、家具、野外の枯れ枝等、乾材のみ加害。
・構成員数は少ない。
●群飛(スウォーム)
シロアリはある時期になると、多数の羽アリが巣から飛び出します。これを群飛と言います。
・ヤマトシロアリの群飛・・4月~5月
・イエシロアリの群飛・・・6月~7月
羽アリは光を恐れない習性があります。
群飛時間は数十分、距離は数百m~1000m程度。
地上に降りると不要な羽は落とします。
●フェロモン
シロアリは目が見えない代わりにフェロモンを使います。
フェロモンには、性誘引フェロモンや階級分化調節フェロモンがありますが、下記フェロモンをご紹介いたします。
・警報フェロモン・・巣・加害場所に危害が及ぶと仲間に危険を知らせるフェロモン。
・道しるべフェロモン・・働きアリが出す、仲間や自分の通路の道しるべフェロモン。
●好きな場所
①湿気が多いところ
②日当たりの悪いところ
③暖かいところ
④空気の流れがないところ
例えば、浴室床下、浴室壁中が該当します。
●被害を受けやすいところ
・湿気が多い → 水を使うところ。
台所、洗面所、トイレ、浴室、玄関まわり(雨水、雪がとけた水、水まきによる湿気)
●シロアリに関する用語
・蟻道(ぎどう)・・シロアリのトンネル状の道。(光・風を嫌うため)
・蟻土(ぎど)・・割れ目や隙間に詰められる土
・群飛(スウォーム)・・多数の羽アリが巣から飛び出すこと。一番人目につくとき。
・食痕・・木材の柔らかい部分を食害し硬い部分を残します。
●シロアリはなんでも加害する
・木材は勿論、米、畳、プラスティック、動物死骸、ケーブル、コンクリートなどを加害します。
●シロアリを寄せ付けないために
・建物周辺に切った木の根、木片は放置しないようにしましょう。シロアリが繁殖しないためです。
・基礎の換気口はふさがないようにしましょう。風通しをよくするためです。
●最後に
普段、生活をしていてシロアリを目にすることは、そんなにありません。
ただ、何度も申し上げますが、シロアリは光と風を嫌います。ですので、羽アリが飛ぶ時だけ人の目にふれるだけです。
しかも、気温が下がる冬場は冬眠することなく、単に活動量が落ちてじっとしているだけです。冬でも暖かい日は活動します。
つまり、年中、木材を食べているということになります。
では、目に付いたときに、羽アリを市販の薬で退治した場合は大丈夫でしょうか?
実はその羽アリは新しく巣を作ろうとして羽ばたこうとして出てきた新集団です。
土の中にはまだまだたくさんの働きアリが活動しています。
ですので、羽アリを市販の薬で退治したからといって全く安心できません。
ほか、よくご質問をお受けするのですが、「防腐剤」ではシロアリ防除には効果がありません。
「防腐剤」は「防虫剤」ではありません。
シロアリ防除をしたからといって、未来永劫に効能が続くわけでもございません。
通常、5年程度が薬の効く期間だとお考えください。